[1]ゆとりん@MVあ5l9jku3vtjc
2023/05/20 03:26
『レッド』

1969年1月18日

1000人近い学生たちが立てこもった
東京大学構内に機動隊及び
警官8500人あまりが突入

夕刻、安田講堂陥落

逮捕者631名

1月18日69年度東京大学入試の
中止が決定した

このあたりをさかいに以降、
日本の学生運動は
徐々に下火へと向かい始める

それとはあまり関係なく、
同じ年の夏から
この物語は始まるーーー



1969年*1972年の日本を舞台に、
連合赤軍の起こした事件を漫画化したもの

連合赤軍の起こした事件と言えば、
なんと言っても
日本の報道の歴史上
最高の視聴率を記録した
あさま山荘事件を思い浮かべるだろう

もちろんそこが
本作の山場ではあるのだが、
あさま山荘事件のみではなく、
そこに至る過程が
じっくりと書かれている

さすがに人名や作戦名は
仮名であるものの、
出来事はほぼ史実に添っており、
俺のように
あさま山荘事件を
リアルタイムで体験していなくても
当時の空気感が伝わってくる

史実に添っているが故に
淡々としており、
起伏のある話ではない

しかし、だからこそ
普段はセクシャルな漫画を描いている
山本 直樹先生の
生々しい人間描写が際立ち、
登場人物達に『生』を感じる

それぞれの登場人物は
初登場時点で
『逮捕まで○日』
『死亡まで○日』
等とその人物が迎える結末までの
タイムリミットが表示され、
その後も定期的に
カウントダウンされていく

各登場人物の人となりを
理解していくにつれ、
少しずつ死亡までの日数が減っていく時の
この怖さというか、
絶望感がたまらない

漫画の登場人物が死んだというより、
自分が知っている
一人の人間が死んだような、
そんな気分にさせられる

彼等は何故
あんな事件を起こしてしまったのか、
どうしてあんな悲劇へと繋がってしまったのか

かつて日本で本当にあった
若者達の暴走を、
この漫画で追体験してみてほしい

通常版は
『レッド』全8巻、
『レッド
最後の60日 そしてあさま山荘へ』全4巻、
『レッド 最終章
あさま山荘の10日間』全1巻
の計13巻

この13巻をまとめた
『定本 レッド 1969-1972』
が全4巻、つい最近発売されており、
俺はこちらで読んだ

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