ある魔法の物語
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「アレアト・フラーム……アレアト・リヒト……」
俺は宿の一室で、最近覚え始めたばかりの魔法の呪文を呟いていた。
前回の冒険で綻びたローブを繕いながら、
使いこなせているとはまだとてもいえない
いくつかの呪文を、口の中で繰り返す。
ヤーシュカという魔法は、通常の魔法が使えない「封印の地」でも使える代わりに、
発動のために必要な呪文が他の魔法よりもずっと複雑だった。
個々の魔法に対応する呪文を一つ一つ覚えないことには、
炎や光を発生させるといった比較的初歩の魔法すら使えない。
この魔法を習得するためには、まず一つ一つの呪文を頭に叩き込む必要がある。
魔法使いの端くれとして知力にはそこそこ自信があるつもりの俺でも、
これにはいささか骨が折れた。
――いや、やってやろうじゃないか。
この魔法を身に付けるためにそうする必要があるというなら。
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