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CoCoLIFE〜ここらいふ〜小説館
[1]パンツパーク◇QoeunprWLM
2016/05/12 07:53
第一回

ぱんどらさん

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神スレ認定
[2]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 07:55
大量の宿題が渡されると、教室のざわめきはやや暗いものになった。
四方八方から不満の声が漏れる。

「俺こんなにやってらんないよ。」

「だよね。受験生にはさぁ、もっとさぁ、宿題減らしてほしいよね。」


ギルガメッシュは小学6年生。まもなく夏休みであり、怒涛の夏季講習が控えている。

[3]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 07:57
本当は受験なんてどうでもよかった。

私立の中学に行けば、今の友達と別れなければならないし、なにより勉強は好きじゃない。



しかし現実は学歴がものを言う世界。

『安定した未来』
『将来苦労するのは自分』
という、いまいちピンとこない言葉に圧されて受験生の仲間入りをするに至った。

[4]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 07:59
隣に座る友人、オナニストも同じような境遇であり、ギルガメッシュとはお互いによく愚痴をはきあっていた。


ランドセルに宿題と教科書をつめ、横に体育着・上履きをかけ、最後にリコーダーを突き刺す。
両手にはその他もろもろの道具が入った手さげのカバンを持つ。

これが夏休み前の下校スタイル。
終業式後は荷物が多いのだ。

[5]君の心の恋人、名無しがお送り致しました
2016/05/12 08:14
おちんちん

[6]((-_―;)))♪リンリ〜ン
2016/05/12 08:46
おちんちん

[7]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:06
重々しい恰好で、ギルガメッシュは廊下へでた。

「おぅ。帰ろう!」と声をかけてきたのは隣のクラスのゆとりん。

ギルガメッシュとゆとりんは家が近いので、下校はだいたい一緒。
実は幼稚園からの付き合いだったりする。

「夏休み何すんの?」

「わかんない。まず夏季講習あるから。」

ゆとりんは受験生ではない。そのまま地域の公立中学にあがるつもりだ。

[8]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:06
>>5
びろーん

[9]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:06
>>6
びろーん

[10]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:09
「ふぅん。俺は田舎に帰る。従兄弟とゲームするんだよ。ほら。」

ゆとりんはギルガメッシュにメモリーカードを見せた。

「なんのデータが入ってんの?」

「いろいろだよ。…ちょっとトイレ寄っていい?」
トイレの前で立ち止まるゆとりん。

「うん。」

[11]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:11
トイレの扉を開けると、得体の知れない虫がバタバタと飛んでいった。

「うわぁ!」

どうやら扉に張り付いていたらしい。

「蛾だ!きめぇ!」とゆとりん。

窓を開けるがなかなか出ていかない。

ピタッと壁について動かなくなってしまった。

[12]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:19
近くに蛾が張り付いていると、なんだか落ち着かない。
用を足している最中に飛び、こちらに向かって来られたりしたら逃げられないからだろう。

蛾を気にしながら必死に用を足しているゆとりんの後ろ姿はなんだか笑えた。

「虫は嫌いじゃないんだけどさ。害虫は嫌いなんだよ。」
ゆとりんの言い分である。

[13]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:29
学校を出ると、容赦ない日光が肌を射る。
校庭の水道も普段より賑わっているように見えた。


終業式ということで午前中でクラスは終了している。
そのため、元気の有り余った連中は校庭で遊んでおり、水道の需要が上がっているのだ。

[14]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:30
「馬鹿だよな!遊んでる奴。日焼けすると皮膚に悪いらしいよ!」
ゆとりんが自信満々に語る。

小麦色の肌をした少年少女がムッとした表情でゆとりんを見た。


夏の日焼けは一種の自慢だ。
夏休み明けに「こんなに焼けちゃったよ!」と日焼けを見せびらかす。日焼けの度合いを競う。



そんな「夏休み、どれだけ楽しんだか。」を代弁してくれる日焼けを否定したゆとりんが白い目で見られるのは納得がいく。

[15]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 09:53
冷たい視線をかわして歩き出すと、なにやら盛り上がっているグループに遭遇した。

よく見ると、全員ギルガメッシュのクラスメートのようだ。
「あ、ギルガメッシュも来ない?」

グループの中の一人が言う。

「話を聞いてないのに話をふるなよ。」
ギルガメッシュは苦笑いして言った。

唐突に「来ない?」と切り出した活発そうな彼女、まくらも受験生である。

「あぁそっか!ほら、今日から夏休みじゃん?だから噂のあれやろうよって話!」

「噂のアレ?」

「そう!"ぱんどらさん"!」

[16]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 10:03
【ぱんどらさん】
・この地域の学生達の間で囁かれる都市伝説。特定の時間、特定の場所で特定の行為をすることで出現し、当事者に接触する。
当事者がぱんどらさんに勝った場合、願いが叶う。
当事者がぱんどらさんに負けた場合、当事者は「災い」になる。

[17]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 10:32
「願い叶うとか超嬉しくない?」
まくらは笑顔で言った。

「だけど、負けたら"災い"になるんでしょ?」とギルガメッシュ。

「"災い"が何なのか知ってるわけ?」

「それは…知らないけど…。自然災害が起こるってことじゃないの?」


まくらが露骨に嫌な顔をしてみせる。

[18]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 12:46
「わかったわかった。…みんな、ギルガメッシュは怖いから来ないって!!」

「違ぇよ!それにお前受験生じゃん。夏季講習とかないの?」

ギルガメッシュの言葉にまくらは(正確にはまくらとその周りにいた連中も)一瞬ビクッとしたが、すぐに「たかが一晩」と反論してきた。

なるほど。これは参加しなければならないようだ。

ギルガメッシュにも「夏休みは楽しみたい。」という気持ちがある。
だから断固として反対しようという意思はない。

[19]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 13:58
「わかったよ。行くよ。」

「よーし!決定ね!これで七人と…。」

まくらは近くにいた人々を適当に指差し確認しながら言った。

ギルガメッシュ・まくらの他に五人の参加者がいるらしい。

まずはスーパー銭湯が目に着いた。
銭湯はギルガメッシュのクラスメートで、運動ができるため、かなりの人気がある。小学校は運動神経がものを言うのだ。

「銭湯ってこういうの好きなの?」

「いや、夏休みだから。」

彼も思い出づくりの参加らしい。

[20]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 17:29
「ギルガメッシュ、無理しなくてもいいんだよ?」

「無理してないよ。」

銭湯は本心から心配して言った言葉なのかもしれないが、ギルガメッシュには厭味に聞こえた。
まくらの「怖いからこないって」発言の流れから、そう聞こえたのかもしれない。



続いて、長髪暴君は銭湯の親友だ。
もちろん、彼も立派な運動神経の持ち主である。受験はしない。

「銭湯が行くなら俺もいくよ。」という理由で参加したらしい。

[21]パンツパーク◇QoeunprWLM
2016/05/12 17:39


長髪暴君の隣にはハチ公。
女子は固定グループを形成しがちだが、彼女はといえばまくらグループの一員である。

実はギルガメッシュと同じ塾に通っていたりする。



[22]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 17:51


ハチ公の後ろにはナナハァがいて、にこにこ笑っている。
ギルガメッシュは彼女のことをよく知らない。小学校六年目にして初めて同じクラスになったのだ。





[23]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 18:05


ナナハァの隣にはリンリーン。
ギルガメッシュの親友の一人で、受験生。
ちなみに、実家は駄菓子屋。
彼は継がないらしいが…。



[24]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 20:17


今のところ、参加者はまくら・ギルガメッシュ・銭湯・長髪暴君・ハチ公・ナナハァ・リンリーンの七人が決定しているらしい。



[25]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 20:44
まくらが口を開いた。
「ギルガメッシュ、携帯は?」

「あるけど…今はない。家。持ち歩かないんだ俺。」

「あっそ。じゃあ今言う。今日の夕方6時、校門前集合。」

まくらの言葉にギルガメッシュは少し驚いた。
「ぱんどらさんを学校で呼び出すの?」

「そうだよ。」

「…もっといい場所がなかったわけ?」

「ないよ。学校が1番向いてるよ。ね?」

まくらの「ね?」にハチ公やら長髪暴君やらが「そうだそうだ。」と同意する。

[26]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/12 22:20
ギルガメッシュは抗議を諦めることにした。
今の状態で権力を握っているのはまくらだ。ギルガメッシュは後から来た"新人"のようなもので、決まったことを次々飲み込むことしかできない。

「わかったよ。じゃ、帰るから。」

「行こう。」と言う意味でゆとりんの肩を叩く。

背後から口々に「じゃあね!」「ばいばい!」と聞こえて来た。

[27]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/13 07:16


まもなく校門というところで、ゆとりんが足をとめた。

「どうしたの?」

「ほら、またやってるよ。」
そういいつつ、ゆとりんは宿直室の開いている窓から声をかけた。

「黒さん!新しいの買ったの?」



[28]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/13 07:52


黒さんは"黒幕"という用務員のおじさんである。
38歳という年齢でありながら(年齢は関係ないか…)モデルガン・エアガンが大好きで、収入のほとんどが拳銃モノに消えているという。
実際、宿直室にはモデルガンの空箱が散らばっていた。

黒幕はモデルガンから顔をあげると、「あぁ。」と嬉しそうな顔を見せた。


「007に憧れてるらしいよ。」

「へぇ、なんか子供だね。」

[29]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/13 08:35


気がつけば、ギルガメッシュとゆとりんが別れる場所まで歩いて来ていた。

「じゃあ。」とギルガメッシュが軽く片手をあげる。
普段ならゆとりんも「あい。」とか言いながら片手をあげてバイバイするのだが、今日はちょっと違った。



[30]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/13 09:12


「本当にいくの?」


ゆとりんの言葉にギルガメッシュは首を傾げる。
「何が?」

「何がって…ぱんどらさんだよ。」

「あぁ…そっか。」とハッとするギルガメッシュ。
「行くつもりだよ。」

・約束を破ることはできない。
・プライド
以上の二点から、今更ドタキャンすることはできないのだ。



[31]パンツパーク◆QoeunprWLM
2016/05/13 10:00


「俺はあんまりオススメしない。他の学校でぱんどらさんの餌食になった生徒がいるっていうし、近所の中学生もぱんどらさんで意識不明になったらしいよ。」
ゆとりんは不安な表情で言った。

普段は見せない表情だっただけに、ギルガメッシュはぎょっとしたのだが、「大丈夫だよ。」と笑っておく。

本当はギルガメッシュも不安だったが、表には出せない。

「そっか…じゃあ気をつけろよマジで。」

「うん。わかってるよ。」




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